俺様王子様に振り回されて

あー・・・なるほど。



「確かにマッツー、そういうこと、言いそうだよなぁ・・・。」


うんうんと頷く。




「そうそう。けど、マッツーの彼女作りは永遠になるだろ?

だったら、こっち選ぶって。普通。」




森井の意見はもっともだ。


マッツーは、図体がでかく、一見恐そうな顔をしている。

しかも大人の女の前では、極度に緊張してしまう。


そんなマッツーに彼女ができる確率は、残念ながらほぼ0%。

現実はシビアなのだ。




よく見ると、そこまで悪い顔ってワケじゃない。

しかも、マッツーは本来ひょうきんな奴だ。


しかし、第一印象はやはり重要だ。



しかも、大人の女の前ではろくに目も合わせられないのだから、困ったものだ。








「・・・・・・で、その教える子ってのが、私だったと。」


「そういうこと。

てことで、さっさと始めるぞ。」


「・・・・・・・・・はい。」



私はシャーペンを握りなおす。





意味もなく、心臓が暴れてる。



近くにいるってだけなのに、意識しちまうとは、なんて不便なんだ。






舌打ちしたくなるのを必死でこらえる。










森井は、眉間にしわを寄せていた。



「あのさ、お前、一問も解いてねーじゃん。」


「全部、解んねぇんだよ。」







俯きながら、反論する。



森井は何をどう思ったのか、ため息をついて言った。







「・・・・・・俺と一緒にいるの、そんなに嫌か?」









――何を言われたのか、一瞬、解らなかった。