俺様王子様に振り回されて

ツマリ。

キミタチノチチオヤハ、ホントウハオレタチカモシレナイッテコトダ。




何の呪文だよ。


心の中で、本気でそうツッコんだ。




あの時。


私の頭の変換機能が、全く役割を果たさなかったのだ。






奇妙な沈黙が、その場を包んでいた。






兄貴は眉間にしわを寄せ、吐き捨てた。




「変な事言うんじゃねぇよ。早く家から出ろ。

じゃないと、不法侵入で警察呼ぶぞ。」





知的な男が薄ら笑いを浮かべて言った。




「残念だが、不法侵入ではないぞ。

その男の子が入れてくれたのだから。」






私と兄貴は、指を指された司に、視線を向けた。




司はコクリと頷いた。





「そいつの言う通り。俺、こいつらを中に入れた。」




なんでだよ?というように視線を向ける私と兄貴を、司は真っ直ぐに見た。




「こいつらの言っていることが本当か、確かめなきゃ駄目だと思ったんだ。

じゃないと、こいつらまた来るだろうし。」






そう言って、司はふっと視線を下げた。






「・・・・・・嘘だろうと思うけど、万が一ってのがあるだろ。」





呟かれた声は、震えていて、司が不安だってことが分かった。







私と兄貴は顔を見合わせ、静かに頷き合った。





司の言い分は、正論だ。



私達は子供だから、どっちにせよこいつらには敵わないし。







兄貴が、代表して言った。




「お母さんは、10時ぐらに帰ってくる。

それまで、いていいぞ。というか、いろ。」