答えは、自然と出てきた。



「諦めたく、ない。」





私が駄々っ子のように言えば、羽依は柔らかく微笑んだ。



「そっか。諦めたくないか。」



私は、神妙に頷く。



「諦めたくない、というより、諦められないと思う。

コレ、私の初恋だし・・・何もしないで終わり、は、ちょっとヤダ。」





そう答えた私の頭を、羽依は優しく撫でた。



「じゃあ、頑張らないとね。」


優しく撫でる手とは違い、そう言った顔はキリッとしていた。




私は、そっと頷いた。



「あぁ。頑張らねぇとな。」













―――とか言っときながら。



昨日は泣いた顔とか見られたくなくて、変な事を喚いて、森井を避けた。





で、まぁ・・・放課後、羽依の家に行って。


羽依と話したんだ。






「茜が森井先輩、避ける気持ちもよく分かるんだよねぇ・・・。

私も、ちょっと勘違いして、千秋先輩思いっきり拒否したことあるし。」



うんうん唸る羽依。


その隣で、私も唸りまくってた。




「でも、避けてても、何にも始まらないんだよね。

茜には色々助けてもらったし、今度は私が力になりたいんだけど・・・。


うぅ~・・・難しいよね・・・・・・。」




はぁーっとため息をつくように、長く息を吐いた羽依。




「森井先輩が何人も彼女いるから駄目なんだよねー・・・」



恨めしそうに呟いた羽依の一言で、私はハッとしたのだった。





――複数の恋人。



忘れていたものが、こみ上げてきた。


舌打ちしたくなった。