俺様王子様に振り回されて

「羽依と帰ろうと羽依の教室に向かっていく時。

羽依とちょうどすれ違ったから、一緒に帰ろうと言ったら。


『千秋先輩!そんなん無理に決まってるじゃないですか!!!』

って、叫ばれた・・・」




ずぅーんと沈んで言うアキ。



「そこで、一回死んだ。」


「・・・・・・そっか。」


ショックだったんだな、アキ。



アキはバッと顔を上げて俺を見た。


かなり情けない顔をしている。美形が台無しだ。




「ねぇ、ハル・・・一緒に帰ることって、そんなこと?

無理に決まってるって・・・・・・俺、何かしたのかなぁ?」




――ドキリとした。


何かしたのか?と、さっきまで俺が自分に聞いていた。





俺は冷静に考えてみることにした。




飯田にとって、アキと帰ることが"そんなこと"?



いや、そんなことはないだろう。


アキは気付いていないかもしれないが、飯田は1年の頃からずっとアキだけを見ていた。



今だって、アキといるときの飯田は、嬉しそうだ。






じゃあ、なぜ"そんなこと"だ?


"無理に決まってる"だ?




・・・・・・答えは1つだろう。






アキと一緒に帰ることより、重大なことが起きたのだ。








「・・・アキ。」


俺は、しょぼくれているアキに静かに声をかけた。



「あのさ、飯田に何かしたのか?」


「してない!昼休みまでは、石原のこと心配してたけど、普通だったし・・・」


「・・・・・・そうか。」



石原。


そのワードで、俺の脳がある予想を叩き出した。