俺様王子様に振り回されて

唖然としていれば。



飯田がこそこそ鞄で顔を隠しながら、後ろのドアから退散しようとしていた。


ちなみに、俺は今前のドアに突っ立っている。






――まぁ、とりあえず。



「おい飯田。」


「はぃぃっ!!!」




前のドアから、後ろのドアへ声をかければ、飯田が文字通り飛び上がった。






俺は早足でオロオロしている飯田の前に立ち、黒い笑みを浮かべた。



ごくり・・・飯田が生唾を飲み込む音がした。


小動物みたいだ。




だが、残念ながら今の俺には、小動物をいたわる気持ちは無い。






「石原・・・なんで逃げたんだ?

さっきの原石なんちゃらは、石原茜だろ?」



飯田は、何かを決意したらしく、俺をキッと見上げた。




「違いますよ!

さっきのは原石あかたろうちゃん!


それで私は・・・田飯うたろうです!!!

さようなら森井先輩!!!!!」



と、言い、飯田もすたこらさっさーと、最速のスピードで行ってしまった。







・・・・・・・・・タメシ・・・ウタロウ?




「何なんだよ・・・あいつら。」





2人して、不審すぎるだろ。






あいつらのクラスメートは、皆して、俺と同じように唖然としていた。









・・・・・・・・・もしかしなくても。




りいこが言ってたことって、当たってる、のか?





だとしても。




俺、2人に何かしたっけか?


2人には、何もしてない気がするんだが・・・。