「いや……面白いことねェかな、とは思ったけど」

ソプラノの声が教室と僕の耳に響く。

目の前には色とりどりの弁当があり、回りはそれぞれの匂いが混じりあっていた。

「こういうことじゃないんだけど……!!」

項垂れるように下を向く。

「銀くん、昨日言ってたお弁当だよぉ?」

「この卵焼き食べて!」

「赤ウィンナーをタコの形にしてみたの!」

「貴方のためにA5級の肉を使って唐揚げを作ったんだ!」

「…うちのリーダーが、銀様にあげてこいって……」

なんなんだよこのクラスは…!

作ってもなにも言ってねぇのに弁当作るとかどうでもいい情報流してきたりとかA5の肉使ったりとかパシりに使われてたりとか僕に様付けるとか絶対おかしい。

…つーかその前に一番重要なところが抜けてんだけど。

これは言わなければ、と顔をあげるも、現実が一気に目に入り苦笑いしてしまった。

「あ、あのさ。今まだ午前中だから、あとにしてもらえないかな」

「「「「ええー!!」」」」

いや、「ええー」じゃなくて。

「……お願い。な?」

一見すれば女の子達が目を開く。

その様子になんだと眉を寄せれば、

「「「「喜んで!!」」」」

「!?」

揃った声と共に机の上の弁当が目にも止まらぬ早さで片付けられていく。

一分たらずで女の子が去っていった。

パシりに使われていた女の子はだるそうに帰っていく。

……ごめん。


「……で?佐川」

「……な、なんだよ」

後ろを振り向くと、案の定僕と目を合わさずに下を向いている佐川。