真ん中の女が手を振り上げ勢いよく私の頬めがけて下ろした。


――パシーン


瑞希「…っ!いった!」


思いっきり叩かれたため、体が少しふらつく。

倒れそうになり、反射的に何かを掴もうと手を伸ばした。

運良く傾いた方向がロッカーで、寄りかかった。


痛い、ヒリヒリする…。


殴られた頬を優しくさする。

避けることも出来たが、後でめんどくさい事になりそうだからやめた。


「ふん。いい様。」


私のことをビンタして満足したように言った。


私、この人たちに何かしたっけ。
いや、していない。
なら、どうして?


瑞希「私が何かしましたか?」


女から返ってきた言葉は意外なもので。


「どうやって龍王の姫になったのよ。」

姫?


一瞬頭が真っ白になった。


瑞希「姫になった覚えはありませんが。」


「嘘つかなくてもいいわよ。みんな知ってるんだから。」


いや、嘘なんてついてないんだけど。
姫にはならないってちゃんと断ったし。2回も。


でもこの女になにを言っても私の言葉なんて信じてくらないだろう。
いや、この女だけでなくクラス全員か。