何故怒っているのか分からなかったが本能が危険だと察知したのでとりあえず謝った。

しかし、そう簡単に許してくれるはずもなく、ドン、ドンと足音をたてながら訊夜に近付いていく。


訊夜はガタガタと震えながらもしゃがまないよう、足の裏に力を入れる。

いつでも逃げられるように。

両手で体を守るように胸の前で交差させ、腕をつかむ手に力を入れる。
そして、目はおばあちゃんを捕らえている。


しかしおばあちゃんの迫力に押され数歩下がる。

1歩、また1歩、と後ずさると背中に堅いものが触れた。

それが壁だとわかった訊夜は1滴の冷や汗が伝った。

頭が真っ白になる。