バイクと男を冷たい目で見下ろしていると斗真の焦った声が聞こえた。


斗真「瑞希、後ろ!」


そう言われすぐ振り向いたがもう遅かった。

堅く握りしめられた拳は私の顔面すれすれ。

目を瞑る時間もなく、殴られるのを覚悟した。


しかし、拳は当たることなかった。


拳を握りしめた男の体が傾いた。


その時、男の後ろに誰かがいるのが見えた。


「大丈夫か?瑞希。」


この優しい声。

間違いない、勇磨だ。


瑞希「うん、ありがとう。勇磨。」


私の返事を聞きにっこりと笑う勇磨。


勇磨「そっか。なら良かった。」