父さんをやったのは母さんだとすぐにわかった。 母さんの手には真っ赤な血が付いた包丁が握られていた。 母さんが俺に気づき、 『あら、帰ってきてたの?おかえりなさい。』 呑気にそういった。 それを無視して、父さんの止血をした。 『もう無駄だよ。君のお父さんは死ぬんだよ。』 後ろで男が笑いながら言った。 何がそんなに可笑しい。 ちらっと母さんの方を見ると、母さんも笑ってた。 どうして笑っていられる? 人を刺したんだぞ? しかも、自分の夫を。 自分の愛した人を。