克「長くなるけど、聞いてくれるか?」 瑞希「うん。」 克の目をまっすぐ見つめ、ゆっくり頷く。 克「さっきも言ったけど、あいつ…桜は、小さい頃からずっと一緒にいた。 俺はごく普通の一般家庭だった。 父さんがいて母さんもいる。 父さんはサラリーマンで母さんは専業主婦。 幸せだった。 でも、俺が小五の時、俺の家族は壊れた。 その原因は、母さんの浮気だった。 その時から女が苦手になった。 女は裏切る、信用してはいけない、と。 父さんは仕事が終わったら、毎日母さんに暴力をふるうようになった。