―「何でよ!私は克が好きなの!」


もう1人の人間も甲高い声で叫ぶ。
この声は女の声。


今、“克”って言ったよね?
男はもしかして克?




ゆっくりと目を開ける。

携帯を手に取り時間を見る。

夜中の4時。
あれから2時間しか寝ていない。
なのに眠くない。
この胸騒ぎのせいだろうか。



髪を軽く手で解かし、着替えずに部屋を出た。

電気が付いていなくて真っ暗。
携帯の明かりを頼りに玄関に向かう。

皆寝ている時間。

でも、親父なら人の気配を感知し起きてしまう。