瑞希「え?…うおっ!」


‘男’に足を捕まれ、思いっきり引き寄せられた。


突然のことで、バランスを崩した。


後ろに引っ張られたため、重心が一気に前へ。


前のめりに倒れ、手を後ろで縛られているから手をつくことができず、そのまま倒れた。


何とか胸からつき、顔を打つことはなかった。



「瑞希!」


誰かが私の名前を呼ぶ。


‘男’が足を離した。


私はうつ伏せから、仰向けになった。


‘男’が上から私を見下ろす。


手を膝におき、上半身を前に倒してきた‘男’。


体が直角に曲がったとき、ニヤリと笑った。


私の嫌いなあの笑みを浮かべた。