でもみんなにそんな顔させているのは私だ…。


私が捕まらなければ。
私がもっと強ければ。

みんな、ごめんなさい。
ごめんなさい。


心の中で謝罪しながら視線を下げる。


本当に情けない。
姫になった時にやった挨拶で、“私は守られるような柄じゃないし、多少喧嘩できるから。”なんて言ったくせに捕まってるし。

もっと強くならなくちゃ。


みんなの視線を浴びながら、私たちは倉庫を出た。


バイクに乗るのかと思いきや、まだこの‘男’は歩みを止めない。


たどり着いたところは、倉庫から少し離れたところにある小さな公園。


夕方まで小さな子供でにぎわっていた公園には、今は誰もいない。


その静かな公園に止まっている、大きな黒い車。


‘男’はその車に近づく。
と、運転席から1人の長身の男が出てきた。