魅惑のキスネコ!【完】


ポパイが指差すのはただのファミレスだった。

でかでかと”春のお魚フェアー”とのぼりに書かれている。

「さ!いこいこ!」

「ちょっ!ちょっとポパイ!」


カランカラーン


「二名様でーす♪」
上機嫌にそう言いながら店に入っていく。

そんな勝手にッ・・!
と思いつつも、ここにポパイを置いてくわけにもいかないし
あたしは慌ててポパイの後を追った。

こりゃ本当にリードが必要だわ。


席に案内されてポパイがうきうきと座る。
窓からの景色をみて少し興奮気味だ。

あたしもしょうがないから向かいの席に座った。


「メニューをどうぞ」
ウェイトレスさんにメニューをさし出され
ポパイは顔をあげて彼女を見る。

「ありがとう」
そう言って笑顔でメニューを受け取った。

「!いっいえ!」
ウェイトレスの頬が一瞬にして赤く染まる。

そしてポパイを見つめたまま
あたしの前にメニューを置き、そそくさと行ってしまった。


ちょ・・;

あたしはびっくりして彼女を視線で追う。

案の定、その子はそのままほかのウェイトレスのところへ行き
こっちを見ながらひそひそ話し。

きゃぁきゃぁって声が聞こえてきそうな雰囲気だ。


あたしは目の前のポパイを睨む。

ポパイはそんなあたしにもウェイトレスにも気づかず
メニューと睨めっこしていた