冬の海の町はものすごく寒くて
車から降りたとたん震え上がってしまった。
ジンがそっと、
あたしにマフラーを巻いてくれる。
あたしは同時に手袋をはめた。
小高い丘の上にあるそこはとても静か。
「ここであってるかな?」
はじめて来るあたし達は
携帯で地図をみながら
きょろきょろと見渡す。
追い風がぴゅーぴゅー吹き始める。
「シュンが早く来いって
言ってるみたいだな。」
ジンが笑い、
あたしはまさかぁと返しながらも
そうかも、なんて思ってしまう。
あたし達はしばらく行き、
そしてその前に立った。
シュンのいる、お墓。
真新しいシュンの眠る場所。
あたしは硬く、美しく磨かれたその石を
そっと触った。
シュン、今まで会いにこれなくてごめんね。
会いに来る勇気がなかったあたしを許して。
初めてその場所を見て
肌で感じて。
胸が熱くなるのを感じた。
あたしは、
シュンの顔さえちゃんと見る事が出来なかったね。
事実を受け入れられなくて
受け入れたくなくて逃げてしまった。
でもやっぱり
ちゃんと見ればよかった。
さよならをちゃんと
言えばよかったよ、シュン。
今はもう、
顔を見たくても見れないんだ。
