「リビングにもないよお兄ちゃん。」
サヤカちゃんがパタパタと戻ってくる。
「うーんそうか・・。
参ったな・・。」
ジンは頭を抱える。
「お兄ちゃん、
とりあえず私は電車で帰るよ。」
「え!ダメだよこんな遅くに。」
「大丈夫だよ。
1時間くらいだし。」
「ダメだって。
乗り換えしないとだろ。」
ぎゃぁぎゃぁと言い合う二人に
あたしが口を挟む。
「サヤカちゃん今日はもう遅いし
泊まって行ったら?」
ジンはそれを聞き
そうだそうだ!と頷く。
「そうだそうしろよ。
明日こっから学校いけばいい。」
サヤカちゃんはえぇっ!と声をあげた。
「でも私なんの準備もしてきてないよっ。」
「大丈夫だって。
うちの使えばいいよ。
化粧品だってカナのがあるし。」
あたしもコクコクと頷く。
「うん。リビングのソファ、
ベッドになるから大丈夫。」
あたしとジンが
一生懸命サヤカちゃんを説得する。
しばらくすると
サヤカちゃんは根負けして
ようやく頷いた。
