魅惑のキスネコ!【完】


「ま、まぁ
さすがに社会人の前で”ポパイ”はないしねぇ。
はは・・は・・・」

とりあえず知ってた事を装って
笑っておこう・・。


みんながそれぞれ車に乗り込み始めると
ぐっとポパイに腕を掴まれた。

「・・カナ、ちょっとこっち。」

「・・何?シュンくん?」
あたしがそう言うと
ポパイはぎょっとする。


「え、なんで知ってんの」

「アリサが教えてくれたの。
最近あの俳優のドラマ、はまってたもんねぇ?」

意地悪く言うと
ポパイは視線を泳がせて苦笑い。

「いいだろっ別に。
それよりちょっとこっち来いよ。」

ぐいぐいと引っ張られ
さっき行った病院の中に
連れ込まれそうになる。


先に車に乗り込んでいたアリサが
どうしたの!?とこっちに叫ぶ。

ポパイは、トイレ!と叫び返し
あたしとポパイは病院に入っていった。


休日で救急でしか空いていない病院は
ほとんど人が居ない。

周りに人がいないのを確認すると
ポパイはさらっと言い放つ。

「カナ、俺帰るわ。」