魅惑のキスネコ!【完】


「待たせたなジン、
一人で歩けるか?」

車を取って戻ってきた人が
あたし達に歩み寄ってきた。

「あぁ、大丈夫です。」
ジンはゆっくりとベンチから立ち上がった。

あたしも慌ててその身体を支える。


後ろではさっきの女の子達が
心配そうに声を漏らしていた。


「カナ、荷物は?」

「アリサが見てるけど・・」


「あ!あたし手伝います!」
女の子達の一人がパッとその場を離れた。

え?と思っている間に
アリサの方へ走っていってしまう。

そのまま目で追いたかったけど
諦めてとりあえずジンと車に向かう事に集中する事にした。


車に着くとアリサとさっきの女の子が
先に荷物を抱えてあたし達を待っている。

あたしはその荷物の中からジャージを取り出し
ジンを着替えさせた。

いくらなんでも砂埃で汚れたまま
人様の車に乗せられない。


軽く着替えを済まし、
血で汚れたタオルも新しいのと取り替える。


「カナ、あたしはここで試合終わるの待ってから
ポパイとそっち行くね。」

アリサの言葉に頷く。

「あ、じゃぁこれ。うちの車の鍵。
ごめんね、ありがとう。」

あたしはアリサに車の鍵を預け
その代わりにジンとあたしの荷物を返してもらった。

グラウンドに目を向けると
試合は順調に進んでいるようだ。

置いていってゴメンね、とポパイに謝りつつ
あたしはそのまま車に乗り込んだ。