「いやでも・・」
「いいじゃないっすか!」
メンバーの一人が声を上げた。
「とりあえず数だけでも居てくれたら助かりますし。
君、誰かの家族?」
「あぁ。カナの・・イトコ。」
「あ、すみません!あたしのイトコですッ!」
慌ててあたしは声をあげた。
メンバーはあたしを見ると納得した顔をする。
「ジンの嫁さんの家族なら申し分ないじゃないか!」
「このまま試合中断するのも
相手チームに申し訳ないだろ」
ざわざわし始めるとさっきの上司が重い口を開いた。
「あー分かった分かった。
じゃぁ相手チームに許可を取ってくる。
ちょっと待ってろ」
上司が立ち去るとメンバー達は
さっそくユニフォームや備品を準備し始めた。
「お前、足速いの?100mいくつ?」
メンバーの中でも若めの男の子がポパイに聞いた。
「10秒ちょい」
「・・は、マジで?嘘だろ?」
「さーあな」
ポパイは答えながらいっきに来ていたシャツを脱いだ。
綺麗な上半身が露になり、あたしはつい視線を逸らす。
「パンツどうする?あっちで着替えるか?」
「ここでいいよ」
背後からざわざわきゃぁきゃぁ、声が聞こえてきた。
脱いでる・・・。
ポパイったら絶対公衆の面前で着替えてるよ。
あたしは目を伏せたままポパイが着替え終わるのを待った。
「お待たせ。許可とってきたぞ・・って。
お前ら準備万端だな。」
上司の人が苦笑いをこぼす。
そりゃそうだ。
ポパイはメンバーの手によって
あれよあれよと言う間に
すっかり着替えを済ませていたんだから。
