あたしがベンチに着くとほぼ同時に
ジンが人に支えられてグラウンドから出てくる。
「っ・・・ジン・・」
青ざめるあたしにジンは弱弱しく微笑む。
ジンはタオルを顔に当て
そのタオルには大量の血痕があった。
「あ、カナ・・。ゴメン。怪我した」
「みっ・・れば分かるよ。
大丈夫なの??」
「うん・・。でも鼻折れたかも・・」
「っ・・・」背筋がひゅッと冷たくなる。
鼻折れたって・・・。
「車持ってくるから。
奥さんちょっと一緒にいてくれますか?」
誰かにそういわれてあたしはその人の顔も見ないままただただ頷いた。
同時にチームメイト達もこっちに集まってきた。
完全に、試合が中断された。
「ジン、大丈夫か?」
「めちゃくちゃ痛いっす・・笑」
「そうだよな。ゆっくり休め。
でも参ったな。今日メンバー数ギリなんだよな。」
「すいません。。」
「いやいや。
しょせん練習試合だしな。
どうするか。14人でやるか?」
ざわざわとメンバー達が話し始める。
ジンが抜けた事で一気に全員の破棄が消えてしまっている。
もうこのまま試合中止でいいんじゃないか?と誰かが言った。
