「おい」 立ち去ろうとする私を呼び止めた。 「全部、忘れろ」 真っ直ぐな瞳に捕らえられた。 でも私は無意識のうちに返していた。 「忘れない」 言ってすぐに後悔した。 なんて偉そうな態度だったんだろう。 でも彼は笑った。 「生意気」 少し、楽しそうに。