「お待たせしましたー、あれ、マージナルさんじゃないですか」


店に入るなり、ソツの無いあいさつを繰り出す先輩。


「向島さん、お久しぶりですねー。俺、次のマネージャーにご指名したかったのに、残念だなぁ」


真島さんは、いつものお世辞ではなく本気で言っているらしい。


自分と同期のジョリンジョリンが、前マネージャーの向島先輩の影響力でレギュラーを少し多く獲得していたからだろう。


「そんなぁ、マージナルさんはもう売れっ子じゃないですか。僕が担当しているのは、デビューしたばっかりの新人さんが多いですし」
「次回こそは、ご指名かけちゃいますよぉー」


よっぽど欲しいんだろうな、MANZAIーGPも控えているし。


敬介はチラチラと、あたしを見ながらトマトソーススパゲッティを食べていた。


きっと、向島先輩の存在を気にしているんだ。


大丈夫だよ、多分、ブス専でもデブ専でも無いだろうから。