Bitter syrup~ほろ苦くて甘い君~


『わっちゃー…すごい土砂降り』




下駄箱近くの階段を降りていると

目に飛び込むのは
滝のように降り注ぐ雨。


下駄箱までは届いてないものの

入り口付近の床は、
すっかりびしょ濡れだった。




『んー折りたたみ傘…ってあるわけないなー
 あたしそんな女子力高くないしー』




誰もいないのをいいことに

繰り広げる、
ひとり言のオンパレード。


走るしかないか

そう意気込んで、階段を再び下り始めた



その瞬間。




『…え…』




ふいに目が、見つけてしまった。


ザアーッと
いつもの校庭の景色が見えないほどに

たくさんの水が流れ落ちる外。


それに背を向けて

…というか、背景にしてというべきか。


それほどまでに、豪雨が似合ってしまう

真っ黒な髪の男子生徒。