まあその日は連絡先だけ交換して、
次の日からは市営図書館で一緒に宿題をする事になったのだが、

日が経つにつれお互いの事も知ってきて…
私が『桐谷』と呼ぶようになり、桐谷は『雪乃』と呼ぶようになった。


桐谷は日を増す事に私への強引さが増してきている気がする。


図書館で勉強中、桐谷がトイレに行っている間に、私へ声を掛けてきた男の人がいて、
ちょっとした世間話をしていただけだったのに、凄い不機嫌な顔で帰ってきた桐谷は男を睨みつけて退散させた後に、私との距離を縮めて隣へ座り、


『何声かけられてんの?』なんて低い声で怒ったのだ。


「『いつも居るよね』って言われただけだし」
と言えば不機嫌さが増して、

「内容の問題じゃなくて男が喋りかけた事自体が問題なんだよ」


なんてふて腐れていた。



この意味不明な男…面倒くさい……





そう思い始めた頃に、痴話げんかっぽくなり、


「桐谷面倒くさい、私明日から来ないから」


と言ったら…………



こっちが桐谷の意味不明さに怒っているのに、


『は?』と呟いた桐谷は私の片腕を取ると自分にぐっと近づけて、



「もう俺は、雪乃から離れるのも、雪乃が他の男と喋るのも無理。

本当なら俺の部屋で監禁したいくらいなんだよ」




と問題発言。


初めて会った時の桐谷の爽やかそうな雰囲気はどこ行った?


段々に皮が剥がれて来たのかと思ったが、

『俺だってこんな俺知らなかったよ。雪乃に出会ってからこんな感情を雪乃にもつんだから、雪乃が原因でなってるんだよ』


なんて自分で言ったのだから、
私に出会ってしまった事が原因らしい。