「別に桐谷に関係ないでしょうが」


「雪乃が他の男と出掛けるとか絶対無理」


相変わらず自分勝手で強引。




「ねえ雪乃…」


呆れてため息吐いていると、

急に伸びてきた桐谷の両腕。


その腕が私の後ろにある壁に手を付くように置かれて、

私は桐谷が壁に着いた右手と左手の間に居る。

つまりは桐谷の腕に囲まれた形になっている。



どうせ『どいて』と言っても無駄だ。

諦めた私はジッと目の前の桐谷を見る。








「雪乃が離れて行くのは嫌だ。雪乃が他の男のモノになるのは絶対嫌だ。

日に日に増す独占欲と他の男に対する嫉妬心。

どうしたら良いんだろうね?

もう俺は、雪乃を俺しかいない部屋に閉じ込めたくて、閉じ込めたくて、
誰にも雪乃を見せたくなくて、可愛がり尽くしたくて仕方がないんだ」



その桐谷の目は、獲物を狙うような目をしてたかと思うと、段々にぞくりと背筋が逆立つ様な甘ったるい顔つきになる。





「雪乃が好き。どうしょうもないくらい雪乃が好きだ。
でも雪乃は俺を『面倒くさい』『ウザい』って言っているから…

だから雪乃が俺を好きになるまで、俺は雪乃を絶対離さないよ。

あ…違った。好きになってくれたらもっと離さないけどね。





だから雪乃。


大人しく俺を好きになれ」