朝礼を終え、開店時刻になると早速見るからに裕福そうなご婦人が来店した。

 よし!! 接客に行こう!! とした時、疾風の如く橘くんがそのご婦人に飛びついた。

 そして得意のキラキラスマイル。

 橘くんは、見事にご婦人のハートを鷲掴み、ネックレスご購入に漕ぎつけていた。

 そして、ダイヤ入りの高価なネックレスの販売に成功しルンルンな橘くんが、ワタシの隣でラッピングを始めた。

 「・・・橘くん。 あのお客様、ワタシが接客に行こうと思ってたんですけど」

 またひとつ成績を上げてホクホクな橘くんを睨みつける。

 「知ってるよ。 でも、あの淑女だって木内さんより、若くてピチピチのオレに接客して欲しかったと思うし。 ちゃんと売れたでしょ?? 木内さんだったら絶対売れてたって言える??」

 全く悪びれのない橘くん。

 コーイーツー。 かわいくない。

 「次来たお客様はワタシが接客するから邪魔しないでよね!!」

 「ハイハイ」

 ラッピングを終えた橘くんは、ワタシを軽くあしらうと『今日1日で今月のノルマは達成したしー』と余裕をぶっこきながらお客様の元へ戻って行った。

 くっそー。

 次こそワタシが売り上げる!!