―――――ピンポーン


俺はある家のチャイムを押した。


「はい」


「あ、柑奈さんのクラスメイトの粕谷といいます。プリント届けに来ました」


「ちょっと待ってね」


はぁ、緊張した。


隣の席の浅野柑奈の家の前。


今日は浅野が風邪だということでプリントを届けに来た。


別に家が近いからとかそういう理由じゃない。


家のドアが開き、浅野によく似た綺麗なお母さんが出てきた。


「どうぞあがって?」


「いや、俺はここで…」


「そんなこと言わずにどうぞ?」


お言葉に甘えて俺は家の中に入った。