プリントを置いて帰ろうとしたけど、暇だしと思って紙に今日の授業の解説を書き始めてみた。


「浅野?」


粕谷を見るとかすかに目が開いていた。


「起きた?水飲む?」


「ん」


買ってきたペットボトルを開け、粕谷の体を起こす。


「…ありがと」


「どういたしまして」


「数学?」


粕谷が机の方を見て言う。


「そうだよ」


「教えて?」


「駄目だよ。まだ寝てなきゃ」


「もうよくなったから」


ほんとはまだダルそうにしてるのに“浅野の声が聞きたい”なんて言われたら許しちゃうじゃん。