その時だ。

階上で重い物音がした。


「チィッ、あいつだ!泊まってくる予定だったのに」


「あいつって浅川博士?」


「そう、逃げよう」


言うなり、メアリは俺の手をつかみ廊下の更に奥へ走り出した。


ドアを抜け、廊下を突き当たりまで行くと目の前には今までのものとは違う鉄製のサビたドアがあった。

重いドアに手こずるメアリに代わり、俺がドアを押し開けた。
ドアの先は暗い地下道だった。足元は土、壁は岩だ。


暗闇の地下道は、メアリの持っていた小さなライトしか頼るものはなく、またいくつも分岐があった。

ひとりで逃げるのは不可能だっただろう。

俺たちはひとつの正解ルートをすごいスピードで駆け抜けた。