金の刺繍が施された純白のブレザーに袖を通す。



鮮やかな紅のネクタイをきっちり締めて鏡の前に立った。



そこには…


ボサボサの黒髪に大きな黒縁眼鏡



制服をきちんと着込んだ地味男の姿。



そう…俺の姿。





第一章 クロス魔法学校~2話~





自分で言うのもなんだけど俺の顔は至って平凡だと思う。



別にイケメンでもなければそこまで残念な顔でもない。



中の中。だと思う。



そんな俺が何故こんな地味な格好をするのかというと…まぁ色々理由があるわけで。



簡単に言うと正体を知られてはいけないわけで。



仕方なくこんな格好をしている。



自分で見てもキモいと思ってしまうんだから悲しいったらありゃしない。



「はぁ…」



大きく溜息をついて気を取り直し鞄を手に取った。