「甘い・・・って・・・」
「おいしい?この前の会議で出した試作品だけど(笑)」


すぐに解けたチョコレート。

城島と桜が参加するクリスマスイベントで配られる予定の商品の一つだった。
甘いミルクチョコと甘酸っぱいラズベリーの味が桜の身体に刻まれていく。
その味に浸っていた桜の視界が暗く染まる。その時、少しだけ、煙草の香りが一緒に刻まれていった・・・
視界が元に戻った時、桜の目の前には、照れくさそうに顔を紅くする城島の姿があった。

「ど、どう?」
「お、おいしいです・・・。」

お互いに“もじもじするだけ”の時間が少し続く。

桜も、城島も口にする言葉が見つからず、ただ照れくさそうに“もじもじする”だけ。そこに部屋のチャイムが鳴る。その音に桜は慌てて玄関へと向かって行った・・・