「桜…」

ソファに座る城島は、少し照れくさそうな声で桜を呼び寄せる。そして、桜が隣りに座ると、ただじっと下を向いて、何も話そうとしない。

「要さん…?」

不安になった桜は、思わず城島に声を掛ける。すると…


「今日から…さ…」


そういって、あの“例の本”を桜に見せる。


「うん…」


桜は、顔を赤くしながら静かに首を縦に振る。しかし、不安そうな顔をする桜。
桜の不安そうな顔を見た城島は「大丈夫。」と声を掛けた。


(実を言うと、俺も初めてなんだよな…)


そんな城島の心の中も少し波風が立っていた。
本当のことを言うべきか言わないべきか・・・


「要さん・・・」
「うん?どした?」

「わたし・・・その・・・」


桜の態度で何かを感じ取った城島。すぐさま「じゃ、今度にしよう。」とそっと桜の頭をなでる。桜はうつむきながら小さな声で「ごめんなさい。」と城島に謝る。城島はそんな桜に「気にすんな。」といって抱きしめる。そして、さっと離れるとそのままトイレに行ってしまった。