ピ~ンポ~ン♪


「ったく、守の奴…」


城島は、そういうとキーケースから自宅の鍵を取り出し、ドアを開ける。すると…


「要兄ちゃんお帰り(笑)」


守が、城島に抱き付いてきた。その様子を見た桜は、うらやましくなったが、その気持ちを抑える。


「あっ…会社の人…」
「挨拶は?」



「…こんにちわ…」



人間不振である守にとって、兄である城島以外は恐怖の対象であった。よって桜を見る目も同じである。


「桜は何もしないから、安心しろ。」

「…本当に?」

「あぁ、だってお兄ちゃんの彼女だから。」



「…彼女…?」



守の視線が冷たいものに変わる。城島が盗られると思ったのだろう。睨んできたのである。