さよなら。想い出*.


 「風邪引くよー、」
後ろにニコニコ笑う祥介がいた。
はい。とホットコーヒーを差し出す。

「ありがと…」
「何美咲?なんかあった?」
ずいっと顔を覗き込みながら
大きな目をパチクリさせてる。
「なんもないよっ!少し考え事してたの!」
コーヒーを一口啜って答える。
「えっ!?考え事ってなーにー?気になる~」
ちょこん。とブランコに座るあたしの前に
腰を下ろす。
ドキっとして、ふいに視線を逸らすと、
「俺に言えない事ー?」
と口を尖らせて俯く祥介。
ちぇーって言いながら小石を投げる。

その姿を見て抱きしめたくなった。
柔らかい髪を撫でたくなった。
「あのさっ…」
勇気を出して声を出す。
「んー?」なんて言って笑ってるし…。

「祥介は…、その。好きな人とかいないの…?」

一瞬目がキョトンとして、
ふっと微笑みながら祥介が答える。
「…なんでー?んー、まぁ。いるよ、好きな人くらい」
静かな公園に祥介の声が大きく木霊した気がした。