さよなら。想い出*.


 少しの沈黙があって、拓さんが口を開く。

「じゃぁ、もう1つ美咲ちゃんの初めて貰っていい?」

ただでさえ手を握られて心臓はバクバクで。
拓さんの顔も見れずに聞き返す?
「あたしの初めてですか?」
「そ、手を繋いだから次はチューだね」
拓さんがさらりと、言葉を発してあたしの
頬に手を添える。
「美咲ちゃん、目閉じて?」
思わずぎゅっと目を閉じる。
(この人だったら、大丈夫かも。あたしの初めて全部あげても…)
そう思って肩の力を抜く。
耳元で、美咲ちゃん、可愛い。って囁かれて
波うち際であたしは産まれて初めて
キスをした。
優しい、優しい触れるだけのキス。
唇を離したあと拓さんが言った。
「美咲ちゃん、好きだよ」

帰りの車の中も、彼はずっと手を握ってて
寮の前に着いて降りようとしたら
おやすみのチューをしてきた。
「今日はありがとう、またメールしてね」
そう言って拓さんの乗る車が動き出す。
少しずつ、小さくなっていく影が
見えなくなるまであたしは立っていた。
ただでさえ馬鹿な頭。
この情報処理に追いつける訳もなく
頭はショート寸前。
自分の部屋に帰りほんの数時間前の出来事を
思い出す。

そして、ふと携帯を取り勇気を出してボタンを押す。
[今日は楽しかったです!ありがとうございます。あたし、拓さんのこと大好きです]
送信ボタンを押して間もなく携帯が鳴る。
[俺も楽しかった。美咲ちゃん可愛いから俺も大好き。じゃぁ、おやすみ]
夢のような出来事を思い出しながら
ベッドに潜る。

こんな幸せな毎日がずっと続きますようにと
祈りながら目を閉じた。