少したって、ソラが顔を覗かせてきたので、俺は立ち上がった。
髪から落ちる滴が少し冷たい。
「廊下で待ってろよ。」
「い、言われなくても大丈夫だ!」
ソラは出ていった。
数分後、俺も出るとソラが壁際に立っていた。
確かに廊下に明かりはない。
「出たぞ。」
「あ、あぁ。」
若干ソラの顔がひきつってるようにも見えたが、俺はあまり深く考えずソラが先ほど言っていた部屋へと向かう。
「ナ、ナイトさん。廊下、明るくしないか?」
「ん?どうした?」
「いや、見えにくいなと思っただけだ。」
「じゃあ大丈夫だ。」
真っ暗というわけではないので、手探りで進まなきゃいけないような状況ではない。
だが、ソラも食い下がる。
「で、でも、ぶつかったりしたら危ないから、な。」
「誰もいなかったんだろ?衝突する心配もないし、廊下には何も置いてない。」
「な、何かに引っ掛かるかも。」
そこで俺は気づいた。
「ソラ、暗いの苦手か?」
しばしの沈黙。
「そそそ、そんなことないぞ!よ、夜な夜な森の中を走り回っていたこの私が暗いのが苦手とか、そんなことはないぞ!」
どうやら図星だったようだ。
「ごめんな。すぐに火がつけられないから我慢してくれ。」
実際はつけられるのだが、あえてやらないでみる。
「うぅ。わかった。」
ソラは俺の服の裾を掴むということで、どうにか落ち着いたようだ。

