「ところで、さっきソラが言った誰もいないってどういう意味だ?」
「目が覚めて、部屋を出たら、誰もいなかったんだ。全部の部屋も見たんだが、誰もいなくて。」
「おかしいな。ここは24時間体制で働いてもらっているんだ。誰もいないっていうのは不自然だ。」
「だから、怖くなって。」
「そうか。明かりはついてたか?」
「いや。あ、でも物音がしたぞ。」
「物音?」
「我が一度も入ったことがない部屋だったぞ。」
「そうか。わかった。」
俺は空を見たあと、立ち上がった。
「あ、出る。」
そう言って立ち上がったソラは、俺の顔を見て、
「いかないのか?」
「えっと、先行くか?」
「ん?」
最初は不思議そうにしていたソラも、意味がわかってきたのか、顔を赤くして、
「す、すぐ出る!」
そう言って、足早に出ていった。
俺はもう一度湯船に浸かる。
結局聞けなかった。
ソラについて。
今日の行動。
実は、テラから新しく聞いた情報があった。
ソラはもとは三人家族で、30㎞離れた集落に住んでいたらしい。
しかし、ソラが幼い頃父が死亡。
母が再婚したのが今から10年前だという。
新しい父となにかがあったのは明らかだ。
俺は知りたいと思うものの、ソラの異常な反応にどうしても詳しいことが聞けないでいた。

