Witch and Vampire ―恋物語―

どれくらい経っただろうか。

ペタッ

という足音で俺は目を開けた。

どうやら寝てしまっていたらしい。

空に光る星が長い間俺がここにいたことを教えていた。

にしても、湯煙がすごい。

何も見えない。

「・・・誰だ。」

何も聞こえない。

また、ペタッという音が聞こえるだけだ。

召し使いか?

でも、今まで入浴中にやって来たのは十歳が最後だ。

ということは、不審者か?

はぁ。

なんて馬鹿な野郎だ。

俺は魔力で撃退しようと考えたが、侵入してきた馬鹿の顔も見ておこうと思い、違う魔法をかけることにした。

魔力には、使い方が二つある。

一つはただ力を放出し、衝撃波を出す方法。

もう一つは、魔法といい、力をコントロールすることで魔力を変形させることだ。

魔力が強ければ強いほど大きな魔法が出せる。

勉強や訓練も必要だが。

ペタッペタッという音がどんどん近づいてくる。

俺は人影が見えたタイミングでそいつの足元に向かって魔法をかけた。

氷の魔法だ。

薄く氷を張らせることで、転ばせ、捕まえるという作戦だ。