「それだけか。」
「へ、あ、うん。それだけだ。」
「そうか。」
ならいいか。と俺は視線をソラから前に戻した。
ソラは安心したように息を吐いた。
「で、なんでミギラ草の花束を持ってきたんだ?」
「ミギラ草の花言葉、って知ってるか?」
「花言葉?」
「本で見たのだが、ミギラ草の花言葉は"美"。」
「美、ね。」
「その花粉には肌をきれいにする成分が入っているんだ。」
「へぇ。それは知らなかった。」
「本で見つけたんだ。」
嬉しそうに話すソラ。
ついでに聞いてみることにした。
「ブベラン花の花言葉は?」
「ブベラン花の花言葉か?ブベラン花はな、え、あ!えっと、その、だな。」
急に歯切れが悪くなる。
「どうした。何か悪いことでもあるのか。」
「え、いや、別に、大丈夫だが・・・。」
顔を赤くし、噛みまくるソラにイラついてる俺がいた。
なんなんだ。くそ。
「ブベラン花は、あ、ああああ、」
そこでソラは少し息を吸う。
「あ、愛、なん、だ・・・。」
だんだん声が小さくなるソラ。
「愛、か。」
知らなかった。
ブベラン花は真っ赤で華やかな花で、咲く時期は冬だ。
寒ければ寒いだけきれいな花が咲くという。
見た目は人間がよく知るバラ、という花によく似ているが、葉の形が違うのが特徴だ。

