Witch and Vampire ―恋物語―


男が手に持っていた花束の花びらが舞う。

白く、大きな花びらがきれいに。

「ぐぇ」

「俺のソラに触るな。次やったとき、命はないぞ。」

え、ちょっと待て。

なんで俺のソラとか言ってんだ。

まぁ家族ではあるのかもしれないけれど、所有物じゃないし。

え、て、何自分が言って照れてんだ。

ソラを見ると、話は聞こえていたようだが、キョトンとしている。

これは意味がよくわかっていない感じだな。

よし。大丈夫だ。

「ソ、ソラ。行こう。」

「あ、あぁ。」

俺は歩きだした。

が、まだ来ない。

「どうした?」

「な、なんでもない。」

ソラがこちらに向かってきたので、俺はまた歩きだした。

タタタタという音がして、ソラが隣にくる。

その手にはミギラ草の花束が握られていた。

「せ、せっかく、くれたものだから、その、あの。」

時折俺の顔を見るソラ。

俺はため息をつくと、

「あとでテラに花瓶を用意してもらえよ。」

それだけ言った。

するとソラはすぐに笑顔になり、大きくうなずいた。