Witch and Vampire ―恋物語―


すると、そこにはソラと、ミギラ草の花束を持った男がいた。

ソラの前に男が膝まづき、ソラへ向かって差し出していた。

ソラはブンブンと首を横に振り何かを言っている。

少々いらっときたので、とりあえずソラの方へ向かう。

「待たせたな。」

そうソラへ話しかけると、彼女はほっとしたようにこちらを向き、男の方は若干いらっとしたようにこちらを向いた。

「んだ、てめえ。」

「この子は私の連れですが、どうかいたしましたか?」

「お前が誰だって聞いてんだよ。」

好戦的な人らしい。

こちらが丁寧に聞いてるにも関わらず、こんな返しかたをされるとさすがにいらっとくるものだ。

「ソラ、帰ろう。」

とりあえず無視して帰ろう。

そう思い、家の方へ歩き出すが、ソラが来ない。

なにをしているんだ。

そう思い、振り返ると、まだ男がソラに話しかけていた。

「ソラちゃんって言うの?ねぇ、ちょっとだけ。ちょっとでいいから、もう少しお話とかしない?」

「あ、あの、ナイトさんが、待っているので。」

「そんなことよりさ、行こうよ。」

「えっと、あの。」

「ほら、行こうよ。」

そう言って、男がソラの手首をつかんだので、俺は後ろから男の足を強く蹴った。

「いってぇ!」

「ソラ、いいから行くぞ。」

「何すんだてめぇ!」

そう言って男が殴りかかってきた。

俺は小さくため息をつくと、男の出してきた方の腕を引っ張る。

そのまま俺は体の向きを反転させ、体を前に曲げつつ、男の腕を思いきり引っ張った。

男は背中を地面に打ち付けた。