Witch and Vampire ―恋物語―

この日、俺が子供達にお話を聞かせていると、ナイトさん!という声が聞こえた。

ソラが向こうから走ってきた。

俺は笑顔で手をふりつつ、口元に人さし指を立てた。

するとソラは少し離れたところで俺と同じように座り、いつも鼻唄を歌うのだ。

しかし、今回ばかりは違った。

きれいな歌声が微かに聴こえてきた。

透明感のある、美しい歌声だった。

曲は昔からこの地に伝わる子守唄で、誰もがその場で足を止めた。

俺も思わず話を中断し声の主を探した。

歌姫はソラだった。

目を閉じ、足をぶらぶらさせながら気持ち良さそうに歌っている。

みんなが注目していることに気づかないまま、最後まで歌いきった。

ソラが静かに目を開けると、そこには、多くの人が立ち止まっていた。

彼らは少し拍手をすると、また歩きだした。

わざわざ花を渡した人もいた。

それからソラは’金髪の歌姫’と呼ばれるようになる。

子供達がソラの方へ走っていく。

「すげー!」

「このお歌知ってるよ!」

「きれいな声ー!」

ソラを囲んで興奮した様子で話す。

子供になれていないのか、困惑した顔でこちらをチラチラと見てくるが、俺は笑顔でその様子を見守っていた。

少しその様子をかわいいと思っている自分がいた。

「お姉ちゃん何て言うの?」

「我か?我はソラだ。」

「ソラ、お姉ちゃん?」

「そうだ。」

「ソラ姉ちゃんな!」