Witch and Vampire ―恋物語―

「ところで、お前の名はなんだ。思えば、何も聞いていない。」

「ソラだ。」

「そうか。で、ソラ。言葉遣いが荒くなっているぞ。一応女なんだ。少しは気をつけろ。」

ばっと口を手で塞ぐ。

「すみません。」

すると、今度はソラをじっと見つめ、なにかを探るようによく観察した。

そして、小さく息を吐くと、

「俺が思ったことを率直に言おう。
カモフラージュは完璧だ。
だが、
やつにはばれるぞ。おそらくな。」

ソラは目を細めた。

「誰ですか、そいつは。」

ディランは周りを少し確認したあと、

「まだ、調査の段階だが、
今年は呪いの年だということで、悪魔が復活するかもしれないという噂がたっている。そして、狙いはおそらくここにいる生徒、つまり魔女だ。しかも、最近校内で不審な動きをする男子生徒が増えてきているんだ。まるで悪魔の手下のように。」

「悪魔の手下、ですか。」

「具体的に言うのであれば、女子生徒を拉致し、血を吸う、と言ったところか。しかも全員が魔女だというんだ。」

「魔力の、増量・・・。」

「おそらくそれだろうな。しかも、人間と魔女の区別はまるでつかない。判断材料が少なすぎるなかでのこの正確さ。もしかしたら生徒の情報を把握しているのかもしれない。」

「先生や、一部の生徒。ですよね?」

「しかも、かなり上の位置にいないとそんなもの見れない。」