「主が向かったあと、ソラ様は私とその場に居たのですが・・・」
やはり心配だったのか、ソラはテラのを振り切り、俺のところへ向かったのだという。
そして、俺が首を絞められているところに遭遇し、迷わず飛び出しって行った。
止める暇もなく、そのまま暗唱を始めてしまった。
テラは人間だ。
体が強いわけではない。
相手に攻撃されたら大怪我、もしくは死ぬということがわからない訳がない。
どうすることも出来なかった。
そのまま俺は倒れ、ソラも倒れた。
俺を後ろから攻撃した人物はやはりクラだったらしい。
クラが去ったあと、テラは大急ぎで俺たちのもとへ来た。
「そこにあの瓶は置いてありました。」
そう言ってテラはテーブルの上に置いてあった小瓶を手に取った。
おそらくクラが置いていったものだろう。
「偶然近くにルーク様がいらっしゃったので、処置をすぐに行うことが出来ました。」
ルーク...?
「さっきから気になっていたんだが、ルークっていうのは誰だ?お礼も言いたいし。」
頭の奥がずきりと痛む。
テラは小さく微笑むと静かに立ち上がった。
「写真をお持ちいたします。」
数分後、テラは厚い本、つまりアルバムを持ってきた。
「こちらがルーク様です。」
そこにいたのは、高そうな服を着た幼少期の俺と同じ年頃の高そうな服を着た男の子だった。
俺は不安そうに彼の服の裾を握っている。
「次はこちらですね。」
だいぶ大きくなった2人だ。
10代前半だろうか。
俺は不機嫌な顔で隣の男の子を睨んでいる。
それもそのはず、何故かわからないが、頭を撫でられているからだ。
「最後はこれですね。」
年はかなり戻り、父と母も写っている写真だ。

