数十分後。
普通はあり得ない速さで完成した写真をじいさんが持って来てくれた。
「毎度。次お前をとるのは結婚する時だって祈ってるよ。」
「そうだな。」
俺は軽く笑うと、店を出た。
「ヨーデル。またな。」
ソラが手を振り、テラはお辞儀をして俺の後に続く。
「・・・あぁ。」
ヨーデルも軽く微笑みながらソラに手を振り返していた。
「テラ、写真を頼む。」
「はい。」
俺は写真をテラに渡した。
「ナイトさん、ご飯は食べなくていいのか?」
ソラが唐突に聞いてきた。
「いや、あまりお腹がすいていないんだ。」
「いや、だめだぞ。お腹がすいたら力が出ないってルークさんが言ってた。」
「・・・そうか。じゃあ、ソラの言っていたおいしいパン屋さんに案内してくれ。」
「あぁ!」
嬉しそうに歩くソラ。
もう一度パンが食べれるからか、俺が食べると言ったからなのか、よくわからないが。
「ここだ。」
ソラはバターパンを一つ買ってくると、
「はい。」
俺に渡してきた。
確かに、パンは少し小さいが、持っただけでふわふわなのが分かる。
「一番安いんだ。」
一番安くてこんなにもおいしいといいたいのだろう。
断じて俺だから一番安いのを選んだというわけではないはずだ。

