葵が目覚めた時、すごく幸せだった。
嬉しくて、言葉にできない感じだった。
でも、そう長くは喜んでいられなかった。
再検査の時、先生に言われた。
「後遺症が残ってしまいましたね、右足に麻痺があります」
って。
前々から右足が動かないとは言ってたけど、体を全然動かしてなかったからだってそう思ってた。
でも、麻痺?
じゃあ、動かない…?
「リハビリすれば、少しは…でも、完治とまではいかないだろうね」
ハキハキという先生。
「葵…っ」
葵の顔を見た。
信じられないって顔をしてた。
辛そうな、そんな顔をしてた。
病室に戻ると、みんながいなかった。
多分、もう帰ったんだろうね
車椅子からベットへ戻してもらって、葵は布団に入った。
「葵…」
「紅音、帰れ。」
「…やだよ。」
「いいから帰れ」
「やだ。」
「帰れって!!」
久しぶりに聞いた葵の怒鳴る声。
私だって負けらんないのよ。
「嫌だって言ってんじゃんか!」
「…んでだよ」
「そんなの決まってんじゃん、一緒にいたいから。」
「なんで。」
「好きだから。それ以外あんの?」
「…ごめん、俺約束守れない。お前のこと、幸せにで…「はいはーい、別れようとか無しね。幸せになるかならないかは私が決めるから。てゆうか、そーゆーはなしをすぐもってくんなっての!」
私がギャーギャー言うと、
「ん、わりぃな」
「わかればよろしい!」
私はニカッと笑った。
少しだけど、葵も笑ってくれた。
「ねぇ、葵?」
「ん?」
「リハビリしてみない?」
「たりめーだろ。完治してやる。」
「んじゃ、私も応援してやる。」
それくらいしか私にできないもんね…
「心強いな。」
そう言って私の頭を撫でてくれた葵。
大好き…



