ゆびきり

私たちは、家につくまでずっと無言で歩いていた。


私はずっと詠士と梨由のことを考えていた。


今の詠士はなにを考えているのだろう?梨由のことかな?


「おい、きいてんのか?」


詠士の声に我に帰った私は、気付けばすでに家の目のまえにいた。


「あれ?もう家?」


「何ぼーっとしてんだよ。じゃあな」


詠士はそういって歩きだした。


「えっ?詠士?」


私はとっさに引き止めてしまった。


詠士は私を送ってくれただけ?


それだけでここまできてくれたのかな。


「なんだよ?」


「お…お茶でものんでったら?外寒いし…」


何誘ってるんだろう…でも、まだ詠士と二人でいたい。