ゆびきり

「だってそうだろ?お前は捨てられたもんな。それで結婚して?運のいい女だよな、金持ちのお嬢様はさ」



梨由はなにもいいかえさなかった。



「詠士、やめろよ。過去のことだろ?」


「そうよ。久しぶりにあったんじゃない」



私はなにもみんなの会話にはいれなかった。


私の知らない、みんなの過去の話し。


だからラジオでミサの曲流れたとき、へんな雰囲気になったんだよね。


「ごめんね。なんか久しぶりに日本帰って来たからここにきてみたかったの。もうこない。雰囲気壊してごめんなさい」


梨由は静かにそういうと、席をたち、店をでていった。


「梨由…」


私は梨由を追いかけることもできず、何もしらない、わからない雰囲気の中にいた。

「日和、帰ろうか」

詠士が初めて私に帰ろうと言った。