ゆびきり

仕事が終わり、重い足取りで帰宅していた。


あれから詠士のことばかり頭に出てくる。


何度も彼のことはなんでもない、この気持ちはただの幻想だって…


自分の気持ちを偽ろうとすればするほど、詠士の存在が私の中で膨らんでいく。


余計私の心をしめつけるんだ。


私は、気付けば詠士のいる駅に足が勝手に動いていた。


なにを期待してるんだろう?


あんなゆびきり、ただの客引きでしただけじゃん。


私は彼の特別じゃない。


そんなの解ってるんだ


…なのに…